セミナー資料を作っていると、陥りやすい
罠があります。
それは、「苦労したからこそ成功した」
というストーリーに、作り手自身が夢中
になってしまうことです。
失敗があった。
悩んだ。
試行錯誤した。
そして、最後には成功した。
こうした物語には、人を惹きつける力が
あります。
例えば、
「最初はうまくいかなかったけれど、
何度も挑戦した結果、成功しました」
という話を聞けば、「自分も頑張ってみよう」
と勇気をもらう人もいるでしょう。
ところが、聞く人によっては、
「結局、自分の成功自慢なのでは?」
と受け取られてしまうことがあります。
同じ話なのに、受け取り方が違う。
この違いを生むのは、何を話したかだけでは
なく、その話を聞いた人に何が残るのかです。
例えば、講師が
「私はこんなに苦労して、こんな工夫を
して、最後には成功しました」
と話したとします。
そこだけで終われば、受講者に残るのは、
「講師はすごい」
という感想かもしれません。
でも、
「私が失敗した原因は○○でした」
「そこで△△という方法に変えました」
「皆さんが同じ失敗をしないためには、
ここを確認してください」
と続けば、話は変わります。
講師の経験が、受講者がこれから使える
「知恵」に変わるからです。
つまり、ストーリーは目的ではありません。
受講者に伝えたいことを理解してもらう
ための手段なのです。
これはセミナーに限った話ではないでしょう。
仕事でも、
「私はこれだけ頑張った」
「こんなに苦労した」
という経験を語ることがあります。
もちろん、その経験には価値があります。
しかし、相手が知りたいのは、
「あなたがどれだけ頑張ったか」
だけではありません。
「その経験から、自分は何を学べるのか」
「自分の仕事にどう活かせるのか」
そこに価値があります。
今回、私はセミナー資料を作る中で、
ストーリー性を重視しました。
聞いている人を引き込むこと。
最後まで飽きさせないこと。
分かりやすく伝えること。
それ自体は間違っていません。
ただ、気がつけば、
「どう見せれば面白いか」
に意識が向きすぎて、
「受講者にとって、何が有益なのか」
という、本来の目的を置き去りに
していました。
これは自分にとって、良い反省に
なりました。
セミナーを作るとき、最初に考える
べきなのは、
「どんなストーリーにしようか」
ではなく、
「受講者に、何を持ち帰ってもらいたいのか」
なのかもしれません。
その答えが決まれば、ストーリーは
後からついてきます。
「自分の物語」を聞かせるのではなく、
「自分の経験を、相手の役に立つ物語に
変える」。
同じ経験でも、そこに一つ視点を加える
だけで、自慢話にもなれば、誰かの役に
立つ学びにもなる。
セミナーで本当に評価されるのは、
「講師の話が面白かった」
だけではなく、
「今日聞いたことを、明日からやってみよう」
と思ってもらえることなのだと思います!!
