「まずは先行して自分の利益を確保しろ!」
そんな言葉を、よく聞く人も多いだろう。
現代は競争社会だと言われ、先に利益を
掴んだ者が勝つように語られることも多い。
しかし、昔からある思想の中には、
まったく逆の順序を説くものがある。
それが、大乗仏教で語られる
自未得度先度他
「まず他者を先に救う」という考え方だ。
菩薩という存在は、自分だけが悟り
に到達することを目指さない。まだ苦しんで
いる人たちを先に助けようとする。
自分の救済よりも、衆生の救済を先に置く。
これが理想とされた生き方だ。
一見すると、とても遠い世界の話のように
聞こえる。だが、よく考えてみると、
これは現実社会の中でもよく見かける
原理でもある。
例えば、商売を考えてみる。
短期的に利益だけを追い、相手を出し
抜いて儲けることはできるかもしれない。
しかし、そのやり方は長くは続かない。
取引先や顧客は、いずれその姿勢に気づく。
信頼がなければ、次の仕事は回ってこない。
逆に、相手の利益をきちんと考える人は
どうだろう。
取引先が儲かる形を作り、顧客が本当に
満足するものを提供する。すると相手は
「この人とまた仕事をしたい」と思う。
結果として仕事は続き、利益も自然と
積み重なっていく。
これは「たらいの水」の話にとても
よく似ている。
たらいの水を自分の方へ引き寄せようと
すると、水は反対側へ逃げていく。
だが、向こうへ押し出すと、水は不思議と
自分の方へ戻ってくる。
利益や幸せも、これと同じだ。
自分だけのものにしようと握り込むと、
かえって遠ざかる。周りへ回そうとすると、
巡り巡って戻ってくる。
もちろん、きれいごとだけでは世の中は
回らない。自分の生活も守らなければ
ならないし、努力も必要だ。ただ、順序
だけは意外と大事なのかもしれない。
「まず周りを良くすること」。
その結果として自分が豊かになる。
この考え方は、宗教の教えとして語られる
こともあるが、実はとても実務的な知恵
でもある。長く続く人や組織を見ていると、
不思議なほど同じ姿勢が見えてくる。
周りを幸せにすることが、結果として
自分の幸せにつながる。
単純なようでいて、実は多くの人が
まだ気づいていない、静かな成功の法則
なのかもしれない!!

