人は不思議なもので、身体にとって本当に
有害な物質を口にしていなくても、言葉や
感情として「毒」を吐くと、あとから自分に
跳ね返ってくる感覚がある。
嫌なことを言った直後、なぜか胸の奥が
重くなる。スッとしたはずなのに、少し後悔が
混じる。多くの人が、一度や二度は経験して
いるのではないだろうか。
悪口、嫌味、愚痴。これらを繰り返すと、
何が起きるか。実は一番影響を受けているのは、
聞かされた相手ではなく、自分自身の脳だ。
脳はとても素直で、「よく使う視点」を
その人の標準設定にしてしまう。否定的な
言葉を吐き続ければ、世界を見るレンズ
そのものがネガティブ仕様に切り替わる。
例えば、職場で「どうせあの人はダメだ」
「また失敗するに決まっている」と口にする
人がいるとする。最初は特定の相手に向けた
言葉でも、やがて同じ目線が自分自身にも
向くようになる。「どうせ自分も」
「うまくいくわけがない」。本人は気づかない
まま、思考の地盤がじわじわと侵食されていく。
これは、かなり危ない状態だ。
しかも、毒を吐いたところで問題が解決する
ことはほとんどない。一時的にスッキリはする。
だがそれは、かゆいところを掻いた瞬間の
ようなものだ。原因には触れていないから、
また同じ違和感がぶり返す。そして、また
毒を吐く。このループに入ると抜け出しにくい。
だから大切なのは、「言わない」ではなく
「言い方を変える」ことだ。安全に、攻撃的に
ならず、整理する形で口にする。
例えば、「あの人は最悪だ」ではなく、
「自分はあの場面でこう感じて、こう困った」。
主語を自分に戻し、事実と感情を分ける。
それだけで、言葉は毒ではなく情報になる。
感情を溜め込めという話ではない。ただ、吐き
出すなら、自分を蝕む形ではなく、自分を守る形で。
言葉は外に向かって放ったようで、実は一番
近くにいる自分が浴びている。そのことを
少し意識するだけで、思考の空気は驚くほど
変わってくる!!

