焼けつくような陽射しが何日も続き、夜に
なってもアスファルトは冷えきらず、熱は
街を包み込んだまま離さない。記録的な
熱帯夜が、また一日と更新されていく。
そんな昨日の夕暮れ、空がみるみる鉛色に
染まり、遠くで低く唸るような雷鳴が響いた。
やがて、大粒の雨が勢いよく地面を
叩きはじめる。
いつもなら足止めされるだけの厄介な雨も、
この日ばかりは胸の奥から「ありがとう」
と言いたくなる恵みの雨だった。数日ぶりの
雨がアスファルトを冷やし、立ちのぼる
白い水蒸気が、ゆっくりと空へ溶けていく。
「水を差す」という言葉は、たいてい歓迎
されない意味を持つ。けれど、時には
熱を帯びすぎた空気や心に、こうして
冷たいしずくを落とすことが必要なの
かもしれない。
雨音に包まれながら、心の熱を静め、
仕切り直してまた歩き出せばいい!