心の重心を意識して整える

倫理の学び

重心」とは、物体に働く重さの中心点
たとえば立っている時に、その重心がずれて
しまえば、どれほど力のある人でも簡単に
倒れてしまいます。安定した姿勢を保つには、
身体の中心に意識を置くことが何より大切です。

この考え方は、実は心にもあてはまります。
昔から「肝が据わっている」と言いますが、
これは言い換えれば心の重心がしっかりして
いる状態。どんな出来事にも動じず、落ち着いて
受け止められる人は、心の中心に確かな芯
持っているのです。

古武道では「丹田(たんでん)」という言葉が
あり、上・中・下の三つの丹田があるとされます。
中でも下腹部にある「下丹田」に気を通して
構える
と、相手に押されても微動だにしないと
言います。これは筋力ではなく、重心を意識して
整えること
で得られる安定感です。

柔道でも同じことが言えます。いくら大柄な
体格でも、重心が浮けば簡単に小柄な相手に
投げられてしまう。逆に重心が低く、ぶれない
姿勢を保てていれば、力に頼らずとも相手の
動きを受け流すことができます。

心もまた、重心が高くなると揺れやすく
なります。
他人の言葉にすぐ反応したり、ちょっとした
トラブルで気持ちが乱れたりするのは、心の
重心が上がっている状態です。そんな時こそ、
深く息を吐き、丹田に意識を戻す。ゆっくりと
呼吸を整えるだけでも、心の位置が下がり、
地に足がついた感覚を取り戻せます。

結局のところ、私たちが日々求めているのは
動じない自分」ではないでしょうか?
外の出来事を変えることはできなくても、
自分の重心をどこに置くかは選べる
身体の重心を整えるように、心の重心も
意識してみると、少しずつ周りの出来事に
振り回されなくなります。

安定とは、強くなることではなく、
ぶれない場所を見つけること。そして
その場所を自分の中に育てていく事こそが、
心の重心を整えるということなのだと
思います!!

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