「自由にやっていいよ」
その言葉は、一見すると心地よく聞こえる。
だが自由とは好き勝手にふるまうことでは
ない。特にチームや組織で何かを成し
遂げようとするなら、そこには必ず“規律”
が必要だ。
ある企業で、新しいサービスを立ち上げる
プロジェクトが始まった。自由な発想を
大切にしようと、ルールや役割を明確に
せずにスタートしたところ、情報共有が
バラバラになり、タスクの重複や抜け
漏れが続出。結果として、リリースは
何度も遅れ、現場は疲弊した。
その反省を活かし、次のプロジェクト
ではまず「誰が何を、いつまでに、
どう動くか」を明確に決めた。トップが
明確な方向性を示し、全員がその規律に
基づいて動くと、不思議なほどスムーズ
に進んだ。まるでオーケストラのように、
各人が自分のパートをきちんと奏でた結果、
プロジェクトは予定通り完了し、評価も
高かった。
団体行動の美しさは、まさに規律から
生まれる。運動会での集団行動や吹奏楽部
の演奏、さらには自衛隊の行進など
動作がぴったりと連動した姿には、
見ている人の心を打つ力がある。
サッカーを見てもそれは明らかだ。攻撃は
瞬間のひらめきや創造性が求められるが、
守備には規律がなければ崩壊する。
「この場面では誰がどこに戻るか」
「ボールを奪われたらどう守るか」
といった守備のルールがあるからこそ、
全体が連動し、相手の猛攻をしのげる。
自由を否定するわけではない。
だが、TPOをわきまえず、なあなあで
物事を進めようとすれば、いずれ綻びが
生まれる。組織にも、チームにも、
そして人生にも、一定の規律は絶対に
必要なのだ。
規律とは、心を縛るものではなく、
心を一つにするためのもの。
だからこそ、その中に自由も創造も、
しっかりと息づくのである!!